21.ゲイの売り専
男に体を売るから、ゲイ相手の売春はゲイでなければ務まらない。
確かにそんなセオリーは正しくもあるけれど、実際売り専の扉を開いてみると見事に期待を裏切られるはず。ゲイにバイ、ノンケに男の娘、ニューハーフさん(工事済み、胸有りさお有り含む)だって在籍しています。
女性の風俗だって必ずしも世間が求める、若くて綺麗な女性が揃っている訳ではなく、お客様のニーズは様々で色んな幅を効かせた可愛い系からマシュマロ系、熟女にはたまたモンスター級の泡姫だっています。
風俗として男も女も体で稼ぐ人間に、写真指名である種の固定概念をぶつけても期待は裏切られることがありますが、あなたも経験ありませんか?
まあ普通に生きていれば、贅沢はできなくても、わざわざ売り専に飛び込んでしまう男子はそれほど多くありません。勿論昨今の不況に自然災害等の影響で、しかたなく売り専ボーイをしている人もいるけど……お金があってもなくても、どんなに辛くて悲しい出来事が襲ってきても、膨らんでいくのは夢ではなく下半身です。
性欲は不思議なもので、どんな感情にどんな状況に陥っても正直に反応してしまい。人間の本能という欲求こそが性欲です。
そんな敏感すぎる性欲と金銭欲を一気に解決できる仕事が売り専なのでしょうか?
俺はノンケと言いながら売り専という世界にいるわけでやっている事は両刀で、そこまでゲイの世界に染まっていないけど、やっぱりかっこよいなどタイプのお客様が相手となると売り専という職業としてアナルセックスを十分に知っている俺は興奮するし、正直気持ちいいし感じます……家族も友達も誰にも見せられないこんな姿で喘ぐ俺、そんなことを想像すると正直切ない気もするけれども感度も高ぶってきます。
そんなこんなで気持ちよく短時間で稼げるのも、言わば売り専の魅力とも言えます。
お店で仲良くなった生粋のゲイの売り専ボーイのN君がいます。
この狭くて広く回転の激しい売り専業界で色んなボーイを見てきたけれど、彼は本当に心からセックスを楽しんでいる売り専の一人。生まれつきの絶倫なのか知らないけれど、30間近の下半身とは思えない程の回復力と持久力。四六時中ブイブイ言わせているN君はうちの店でも指名は途切れない、直球ど真ん中の売り専ゲイボーイと言えますね。セックスが好きなゲイにとって、売り専は時として天職になるのかもしれません。
性に対して貪欲であることは売り専の必要な資質になるかも知れません。
あとね、ゲイのボーイって結局男が好きだから店内恋愛でいざこざが起こることもしばしば、まあそうだよね汚いおっさんに毎日抱かれて無理矢理ぶち込まれたりしてるんだからたまには若くて自分好みのボーイ同士で慰め合いたいですよね、正直気持ちはよく分かります。
でもお店でくっついてしまうと、店側にメリットはないので(一緒に辞めてしまったり、相思相愛がゆえに仕事にならないなど……etc)基本店内恋愛禁止の店が多いです。
まあそんなルールは有名アイドルグループが影で合コンしたり、お持ち帰りされたりするのと同じく、建前だけで売り専同士うまくかわしていますが。(笑
偏見とかじゃないですけど、基本ゲイは性欲が強いんです。出しても出しても出しきれないって言うか、やっぱりもっと気持ち良いことしたい。そんなゲイボーイ達は店上がりにハッテン場とか、クラブでナンパして発散です!あとよくマネージャーやオーナーに食われちゃうボーイも多いんですよね。俺もそういやマネージャーや半島系の筋肉馬鹿のオーナーに食われて、2万握らされたこともあります……
売り専って、ただしゃぶって入れて、そしてイクって単純作業の繰り返しみたいに見えるけど、やっぱりプロの仕事が出来る人間はごくひと握り。
本当に向上心の塊みたいな人なんかはセックスのプロとして、吉原の売れっ子ソープ嬢並に並々ならぬ努力(床上手でサービス精神旺盛、トークのための教養を学んだり)を惜しみません。なんだろ特にホスト業界みたいに上下関係が厳しい業界で働いていたゲイボーイ達は特に意識が高かったですね。
勿論意識の差なんて人それぞれ価値観も夢も違うから、俺がああだこうだ言うことでもないし、格段俺が滅茶苦茶がんばっているって訳ではないですよ。でもなんだろう、純粋なゲイで売り専に身を沈めている人って、やっぱり病んでいる人もいます。ただその人が精神的に弱いっていうのも勿論あるんですけど、なんかもっとこう人生を生き抜く強さを弁えていない感じなんです。地に足が着いた生き方をしていない人が多い印象がありますね。そして彼らの殆どは売り専の寮で暮らしていたり、パパに囲ってもらったりしています。
寮生活なんて3文字はキラキラした新入生を思い浮かべてしまいがちですが、風俗店の寮なんて本当に酷いもんです。店のヤリ部屋が自分の部屋になればまだいい方で、大概はオーナー所有もしくは借り上げたアパートの一室に大人数でシェアする感じ。雨風凌げる場所があるだけで幸せなことなのかもしれない。売り専の寮で、ゲイ生活にどっぷり使ったゲイボーイ達の生活は端から見たら、破天荒で賑やかで楽しそうに見えますけど……それを裏返したら、彼らにはいったい何が残るんだろうか?
社会経験が乏しいゲイ街道まっしぐらの売り専ゲイボーイの将来像。考えなくてはいけないけれど、いつまでも目を逸らして日銭を消費するだけの毎日。なんだかんだ周りのゲイの売り専を見ていると、切なくなってしまうんです。勿論夢に目的に向かって全うな仕事と掛け持ちしながら働くゲイボーイだっています。
でも悲しい噂話がよりゲイの売り専の最後の悲しさを物語り、自分の戒めとして毎日俺に問いかけてくるんです。俺の先輩売り専ゲイボーイが辿った短い人生。あぁ、と想像できる方も少なくないと思います。売り専を通じてHIVに感染し、そして知らずの内にエイズを発症。倒れた時に免疫システムはほぼ働いていなかったそうです。最後は家族や友人に見守られながら、卑猥な叫び声で絶叫し旅立った……切ないですね。
色んな人間模様。虹色フラッグはゲイの代名詞、Diversityという多様性が問われる昨今の世の中です。売り専という小さな宇宙にも、大きなゲイボーイというマジョリティーと共に様々な性の嗜好を持った売り専が存在しています。一つ一つの星の煌きも大きさも異なる、そして生まれた背景だって全然違う。だけど一番強い光そして個性を放っているのが他でもないゲイの売り専ボーイというスターです…。
例え話しは綺麗でも売り専に詰まった壮大なロマン、そんな物語の始まりは、いつもおっさんの肉棒を口マンで奉仕することから始まります。
ゲイの売り専は以上で、次は学生街のノンケの売り専へ